2014年11月2日日曜日

見る / 見られる

最近、ヘルシンキで暮らす中で多数派に属す自分と少数派に属す自分がいるということに気づきます。


(1) 見る

「アジア人だからヨーロッパの中では当然少数派でしょう」と思われる方も多いかもしれませんが、わたしの場合必ずしもそうではありません。

何度も身長の話を出して申し訳ないのですが、

小さい頃から順調に背を伸ばしていき(小学2~5年まではなんと8cmずつ伸びていった)、今では170cmを超えたわたしの身長は、日本の女性の中ではかなりマイノリティー。

電車に関して言えば、車両で立っている人の中で一番高くなることもしばしば。
乗り込んできた中年のサラリーマンには見上げられたあと、「どんな高いヒールを履いているんだ」と言わんばかりに足元を見られる。

高校はなぜか背の低い男子が多かったので、掃除のときに「俺小さいからこっち寄らないで」と言われたこともあるし、
身長の低い男性に申し訳なくなる気持ちもあって、
日本で靴を買うときは、ヒールは必ず5cmまでと決めていました。

しかも日本では、一般的に彼氏は彼女より15cm高いのが理想で、
女子は男子に棚の上の物を取ってもらったり、荷物を持ってもらったり、
ふわふわとした服装が「モテる」という恋愛文化がはびこっており(思春期の少女漫画を見れば一目瞭然)、

何一つ当てはまっていない自分と照らし合わせて、
「日本は、女性で背が高いと生きにくい社会だな」
といつも思っていました。

しかしここ、ヨーロッパでは、わたしより高い女性なんてごろごろいるし、
人種も様々、よって外見も様々なので日本で感じていた「生きづらさ」も何にも気にならずに生活できています。

何より、服装。
気温が低いのも原因の一つかもしれませんが、
こちらの人は背が高くても低くてもスキニーパンツが基本。
シンプルでセンスの良いコートと合わせて、アンクルブーツ。これが鉄板。

日本でも、わたしはこのような格好が大好きでした。
いわゆる「可愛い」「女の子らしい」服装よりも、マニッシュな服装のほうが合っていたからです。
(ワンピースやスカートなんかは日本の通常のサイズだと短くなるので、なんとなくイヤらしい感じになり、そもそも可愛くならない。)

毎日ヒールの高いショートブーツを履いて堂々と歩くことができて幸せです。

まあそれでもヨーロッパ人と顔や骨格が違うのでアジア人の顔に合うように多少工夫しなければなりませんが。

この結果、ヨーロッパで自分を中心に「見る」のは自分が社会の多数派に属している世界です。


(2)見られる

一方、相手方に「見られる」自分というのは、あくまで「アジア人」という括りの中にあります。

いくら背が高くても、顔はどうみてもアジア人だからです。

留学生の行動を見ると、ヨーロッパやアメリカから来た肌の白い学生はまずそこで固まり、
残ったアジア人は本当はいろいろな国の学生と友達になりたいけれど、とりあえずアジアで固まる。

この肌の色でグループが分かれる原因は何か考えてみると、まず英語力。
ヨーロッパの学生のほうが英語は圧倒的にうまいです。やっぱり。

日本人は、人によりますが、アジア人の中でも下手です。

白人の学生はアジア人がちゃんと英語でコミュニケーションを取れるのかどうか分からないので、とりあえず似た人種の学生と話している可能性が考えられます。

しかし英語をほぼ完璧に話せれば、初めから白人グループに入れるのかと言えばそうとも言えないような。
英語が流暢な中国人や香港人をかなり見ますが、最初の段階で白人のグループの中に溶け込んでいる学生をみたことはありません。

もう一つ考えられるのは、やはりまだ歴史的な「白人優位」の意識があるのかな、と。
あまりこれは考えたくなかったのですが。

よく考えると、わたしたちも(少なくとも日本人)は欧米のものが「格好良い」と思うようにとことん刷り込まれてきたような気がします。
マネする者がマネされる者と対等な関係になるなどまあ無理な話です。

実体験から言うと、オリエンテーションの時に振り分けられたグループでは、ヨーロッパの学生もかなりいたのですが、彼らから「仲良くしたい」という意思は残念なことに感じられませんでした。

まあ一概には言えませんが。人にもよると思いますが。

(フィンランド人に関して言えば、なぜか彼らからは差別的な扱いを受けたことはありません。親日国と言って良いかな、と思います。熱狂的な日本好きも多い。ありがたい。)

それでも、人種を超えて仲良くなることは不可能だとは思いません。

日本の中でも様々な性格の人がいるのと同じように、国ごとに人々の性格が同じであるわけでは決してないので、国籍が違っても仲良くできる人はいるはずなのです。

人種の壁を取っ払うには、各人が持つ特有の性格を見てもらう必要があります。

まずヨーロッパ人から見て、アジア人はみんな同じ顔に見えるそう(道で移民から「ニーハオ」と声をかけられることもしばしば)なので、その中から見分けてもらうことが第一段階。

わたしの場合は黒髪ショートボブと身長で最初は区別してもらえているようです。
(それって問題?と思うかもしれませんが、見た目が与える印象というのは予想以上に大きい。)

さらに英語力をつけて、テンポ良く会話し、面白い話も展開できるようになれればゴールは近い。
まあここが一番の難関ですが。

これから欧米に留学しようと考えている人は、最初に対等な関係で友達になれるとは思わず、まずアジア人としての人種の壁がある可能性があることを覚悟して行ったほうがいいです。

学校でこんなことを感じるくらいだから、政治やビジネスの世界での国際的な交渉は大変だろうなぁとつくづく思います。

ということで、周りから「見られる」自分はアジア人という少数派の一部ということになります。

主観/客観で自分のいる世界・立ち位置が変わるというのは非常に面白いというか、興味深いです。

まとめると、この見る/見られるの世界を体験して考えたことは、
  • 日本人として誇りを持つためにも英語力を上げよう
  • 世界の中の個人として見てもらえる機会に、話す価値のある人間だと思われるように自分磨きを続けよう。そのためにも、日本でも自分の個性を大事にして生きてみよう。
です。

頑張ります。

何か参考になるところ、共感できるところ、考えるところがあれば嬉しいです。

それではもいもい。

2 件のコメント:

  1. こんにちは。1月からTampereに留学することになった者です!(21歳女)

    留学準備として、暖かいアウターとブーツを買おうと思っているのですが、どの程度の防寒着を買えばいいのかわからず困っています…ブーツも、Dr martensとかでいいのか、アウトドア系のやつじゃないと死ぬのか…
    アドバイスいただけたらうれしいです!!


    ブログ更新楽しみにしてます❤︎

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    1. AYAさん、コメントありがとうございます^^ ブログ読んでいただけてとっても嬉しいです!

      Tampereですか!行ったことはまだないのですが、都会過ぎず、きれいな街だと聞きますので楽しんでくださいね!

      革製のDr.マーチンはおすすめしません、というのも、雨や雪の日が多くなるらしいので、靴自体がボロボロになってしまう可能性があるからですX(
      フィンランド人の友達にはアウトドア用の靴を買うように勧められました。わたしは持ってきたハンターの長靴でなんとか乗り切ろうと思っていますが笑(でもその友達にはそれだと寒いよ!と言われました)

      なので、日本で雪用の靴が手に入れば持ってこられることをおすすめします!重さがネックですが…厚い靴下も必要だと言われました。

      お互い頑張って冬を乗り越えましょう!

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